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遺言の悩み相談4
Top相続遺言遺留分Q&A

Q6.遺言書と印鑑

遺言の悩み
遺言書を作成する際に使用する印鑑の代わりに、拇印を用いても問題はありませんか?
法的に有効な遺言書を作成するには、民法で定めたルールに従わなければなりません。

そのルールに従うと、自筆・秘密・公正証書問わず、遺言書を作成する際には、必ず遺言者本人の署名と〝押印〟が必要です。

したがって、署名はしたけど印を押し忘れた、印は押したが署名を忘れた・・・といったように、どちらか一方でも欠けると、その遺言は無効になってしまうため注意が必要ですが、民法では遺言書を作成する際に使用する印の種類について特に指定していません。

つまり、実印に制限されているわけではないので、認印・三文判でも法的には問題なく、質問にある遺言者本人の拇印も有効【最高裁 平成元年2.16】なものとして認められます。

印鑑イメージただし、拇印は遺言者本人のものであるかどうかの立証が難しく、後々、相続人間でトラブルにもなりかねないので、あまりオススメできる方法とはいえません。

ちなみに、被相続人が印を押し忘れた遺言書を発見した相続人が勝手に印鑑を押す行為は遺言書の偽造・変造にあたります。

最悪の場合、相続欠格者になる可能性もでてきてしまうため、相続人は決して勝手に印を押してはいけません。




Q7.公正証書遺言の取消し

遺言の悩み
半年程前、公証役場に行って遺言書を作成しましたが、気が変わったので遺言の内容を変更したいと思っています。一度作成してしまった公正証書遺言を取消すには、何か特別な手続きが必要ですか?
民法第1022条には、次のような規定があります。
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

【民法 第1022条 遺言の撤回】
この規定は、自筆証書遺言にのみ適用されるルールではないので、公正証書遺言であっても同様です。

したがって、過去に公証役場で公正証書遺言を作成していたとしても、遺言者は自らの意思で、いつでも自由にその遺言を取り消すことが出来ます。

遺言の取消し方法は主に次のような行為が考えられますが、公正証書遺言書を破棄する場合には注意が必要です。
新たに遺言書を作成する
一度公正証書で作成しているからといって、再度、公正証書遺言を作成する必要はありません。

自筆証書遺言、あるいは秘密証書遺言の作成法式に従えば、過去に作成した公正証書遺言に代わり、新たに作成した遺言書が優先されます。
遺言書を破棄する(公正証書遺言の場合は要注意!)
具体的には、遺言者本人が遺言書を破り捨てたり、燃やしたり黒く塗りつぶす行為ですが、遺言書の破棄は遺言書自体についてなされなければなりません。

つまり、公正証書遺言の原本は、公証役場に保管されているため、あなたの手元にある正本や謄本を単に破り捨てただけでは破棄にはあたらないと考えられます。

したがって、改めて遺言書を作成するなどして、破棄以外の方法で対応した方がよさそうです。
遺言の対象となっている財産を生前に処分する
遺言で指定した財産を遺言者が生前に処分してしまえば、過去に作成した遺言は処分した範囲内において取消されたものとみなされます。