実践!相続マニュアル:相続に関する法知識・手続き・トラブル対策サイト
遺言の悩み相談7
Top相続遺言遺留分Q&A

Q12.遺産分割の禁止

遺言の悩み
私が所有する土地と建物が相続人の間で分割されてしまうと、私の死後、家業を継続することが困難になってしまう恐れがあります。遺言で遺産分割を禁止するようなことはできますか?
自分の死後、相続人の間で遺産分割における揉め事が起こりそうな場合、相続人に冷静になってもらう意味で、一定期間、遺産の分割をさせないよう、遺言によって遺産分割を禁止することは可能です。

ただし、〝一定期間〟とあるように、遺産分割禁止の期間には上限があります。

その期間は5年間です。

したがって、5年後には相続人の間で遺産分割が行われてしまいますが、5年後も引き続き禁止を望むのであれば、遺言者の意思を尊重させようという気持ちを相続人に抱かせるような情に訴える遺言書作りや、家業が継続できるよう工夫(土地や建物以外の財産で、かつ遺留分を侵害しない分割方法を指定するなど)が少なからず必要でしょう。
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

【民法 第908条 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止】
なお、遺言以外にも次のような方法で遺産分割を禁止(ただし、5年が限度)することができます。

被相続人が残してくれた事業を相続人が力をあわせて継いでいく場合など、遺産の内容により、ただちに分割しない方が得策というようなときは・・・
相続人の協議による遺産分割の禁止
共同相続人の協議により合意が得られれば、遺産分割を禁止することも可能です。

たとえば、相続人や遺産の範囲が確定しない、遺産の内容や状況からみて今すぐ分割することは得策ではない、あるいは相続人が力をあわせて事業を継続していく場合などが考えられます。

ちなみに、5年後も分割禁止を望むのであれば、分割禁止の更新も可能です。
家庭裁判所の調停
相続人の間で協議が調わない場合には、家庭裁判所に遺産分割禁止の調停を申立てることができます。
家庭裁判所の審判による分割禁止
相続人の間で協議が調わず、かつ〝特別な事情〟がある場合には、家庭裁判所は審判の申立てを受け、5年以内の期間を定め、遺産の全部(または一部)について、分割禁止の審判をすることができます。

ちなみに〝特別な事情〟とは、相続人や遺産の範囲が確定していないなど、直ちに遺産を分割することが妥当ではない場合などが考えられます。

※ ただし、遺産分割禁止の審判後に事情の変更があった場合には、相続人はその審判の取消し・変更を求める申立てをすることができます。




Q13.遺言書の保管方法

遺言の悩み
内容を誰にも知られたくなかったので自筆証書遺言を作成しましたが、遺言書の保管方法に何か法的なルールはあるのでしょうか?
遺言書原本が公証役場で管理される公正証書遺言とは異なり、自筆証書遺言は遺言者自身が自己責任で管理しなければなりません。

したがって、極めて人目につかない場所にしまっておくと、相続開始後、遺言書が発見されない恐れがあるため、遺言を作った意味がなくなってしまいます。

かといって、あまり人目につくような場所にあっては、変造等の危険もあるため、自筆証書遺言の保管場所をどこにするかは、遺言者にとって重要な問題です。

自筆証書遺言の問題点そこで、まず保管場所として考えられるのは、銀行などの貸金庫に保管するという方法です。

この貸金庫による保管では紛失や変造の心配がありませんが、契約者死亡後における貸金庫の開扉に、被相続人や相続人の戸籍謄本、印鑑証明などが必要になってくるため、若干手間がかかる上、原則、相続人全員が立ち会わなければならないなどのデメリットがあります。

また、たとえ遺言書を貸金庫に保管していたとしても、その存在を誰にも伝えていなかった場合には、後々、トラブルにもなりかねませんので、少なからず信頼できる者1人には遺言書の存在を明かしておくべきでしょう。

次に、遺言書の保管場所として考えられるのが、守秘義務もあり相続における利害関係もない法律専門家の弁護士に保管を依頼する方法です。

遺言書で弁護士を遺言執行者に指定しておけば、遺言内容を確実に実行することも可能で安心です。

その他、信頼のおける顧問税理士や司法書士などがいれば、第三者である彼らに遺言書を預かってもらうのも一法かもしれません。

自筆証書遺言の保管方法に特別な規定はありませんので、遺言者がどこに保管しようと問題ありませんが、紛失や変造、あるいは相続開始後、確実に発見されるような保管方法を検討しなければ、遺言書を作成した意味がなくなってしまうでしょう。