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法的効力のない遺言内容もある?

法律のプロである公証人が関与する遺言状(公正証書遺言)の書き方で、遺言者が悩むことはまずありません。

遺言状の書き方で問題となってくるのは、遺言者自ら書き残す自筆証書遺言です。

そこで、ここでは自筆証書遺言に重点をおいた遺言状の書き方について説明します。

法律で遺言状に書くことを禁止している規定はどこにも見当たりません。

したがって、民法の遺言方式に従い作成すれば、遺言としては成立しますが、〝法的効力のある遺言状〟ということになると話は少し変わってきます。
民法で定めた3つの遺言方式
自筆証書遺言 遺言の内容をすべて、遺言者が手書きで作成する。
秘密証書遺言 被相続人が作成した遺言(署名意外は手書きでなくともよい)を封に入れ密封した後、その封書を公証役場に提出し、公証人と証人2名の立会いのもと、遺言書の存在を明らかにする、いわば自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置する方式。
公正証書遺言 公証役場にて手数料を支払い公証人に遺言書を作成してもらう。
つまり、遺言には法的効力の働くものと、そうでないものとに分かれるため、法的効力のある遺言を望んでいる者は遺言状を作成する際に注意が必要です。

では、法的効力のある遺言内容とは、いったいどんなものなのか・・・?

ということになりますが、法的に有効な主な遺言事項については、民法で次のように定めています。
身分に関する事項
チェック子の認知

正式な婚姻関係にない男女間に出生した子を、父親が自分の子であると認めること。

チェック未成年後見人と未成年後見監督人の指定

未成年後見人とは、未成年者の法定代理人として財産管理や契約等の法律行為を行います。未成年後見監督人とは、未成年後見人が公正に職務を行っているか監督する立場にある者です。

チェック相続人の廃除と、その排除の取消し

「○○には相続させたくない!」といった場合には、一定の条件はあるものの、相続人としての資格を排除することが出来ます。また、その逆(取消し)も可能です。
 相続財産に関する事項
チェック相続分の指定、または指定の委託

法定相続分とは異なる割合で相続分を指定することが出来ます。また、その指定を第三者に委託することも可能です。

チェック遺産分割方法の指定、または指定の委託

具体的な遺産分割方法を指定することが出来ます。また、その指定を第三者に委託することも可能です。

チェック遺産分割の禁止

5年間という上限期間はありますが、遺産分割を禁止することが出来ます。

チェック遺贈

財産を相続人以外(内縁の妻、孫、友人など)に与える行為です。

チェック寄付行為

財団法人を設立したり、○○慈善事業団体に寄付するなどの行為です。

チェック特別受益の持戻し免除

特定の相続人に行った生前贈与などを、遺留分に反しない範囲内において不問にすることができます。

チェック信託の設定

財産の管理・運用のための信託をすることが出来ます。
その他
チェック遺言執行者の指定、または指定の委託

遺言の内容を実行してくれる遺言執行者を指定したり、その指定を第三者に委託することが出来ます。

チェック祭祀承継者の指定

「○○に先祖の供養と、お墓を守って欲しい」など、祭祀承継者を指定することが出来ます。
なお、法的効力の及ばない遺言内容とは、たとえば「兄弟仲良くするように…」「母親の面倒をみるように…」「葬儀は身内だけで行うように…」といった遺言者の願いや意思などが該当します。

これらの内容については、残念ながら法的効力は及ばないので、相続人が遺言者(被相続人)の意思を尊重するかしないかの問題となってきます。




コレだけは押さえる!遺言状の書き方

民法で定めたルールに従わなければ、遺言自体が無効になってしまう危険があります。

したがって、遺言者は手間ヒマかけて作った遺言が無効にならないよう、細心の注意を払って遺言状を作成しなければなりません。
コレだけは押える!遺言ルール6箇条
チェック全文が遺言者の自筆であること!

用紙の種類(原稿用紙、便箋、メモ用紙など)やサイズ(A3・A4・B5など)は特に問いませんが、遺言内容は必ず遺言者本人が自筆で行ってください。代筆やパソコンで作成した遺言は無効となります。なお、使用する文字については、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字すべて有効です。

チェック作成日付を明確に記すこと!

作成年月日がはっきりしない遺言は無効(例:「○年○月吉日」等は×)です。必ず「○年○月○日」と日付を正確に明記してください。

チェック遺言者本人が署名押印すること!

遺言者本人の署名押印がない遺言は無効です。必ず自筆で署名を行い押印をして下さい。遺言状に使用する印鑑の種類については実印・認印どちらでも構いません。

チェック遺言内容を加筆修正等する際には、次の方式に従うこと!

一度作成した遺言内容を変更(加筆・訂正・削除)する場合には、必ず民法で定めたルールに従わなければ、変更内容は無効となってしまいます。訂正箇所が多い場合には、新たに書き直した方が安全・確実です。
加筆方法
加筆箇所に〝{ 〟を書き足し加筆内容を付け加え、さらに訂正箇所に押印する。次に、遺言状の欄外(または末尾)に「○○行目○○字加筆」と記し、署名する。
訂正方法
訂正イメージ訂正箇所を2重線などで消し(元の文字が判別できなくなるような塗りつぶしは×)、さらに訂正箇所に押印する。次に、遺言状の欄外(または末尾)に「○○行目『○○○(3文字)』を『○○(2文字)』に訂正」と記し、署名する。
削除方法
訂正箇所を2重線などで消し(元の文字が判別できないような塗りつぶしは×)、さらに訂正箇所に押印する。次に遺言状の欄外(または末尾)に「○○行目『○○○(3文字)』削除」と記し、署名する。
チェック遺言状が複数(2枚以上)にわたる場合、契印を押すこと!

法律上の定めはないので無効になるわけでありませんが、遺言が1枚ではまとまらず複数(2枚以上)にわたる場合、用紙と用紙の間に署名押印の際、使用する印鑑で契印を押すのが一般的です。

チェック同一の遺言状に複数の遺言者の意思は残せない!

たとえ夫婦であっても、遺言状は別々に作成しなければなりません。つまり、夫婦が同一の遺言状に、共同して遺言を残すことは出来ないということです。
なお、遺言状サンプルなどを拝見すると、必ずと言っていいほど〝遺言状(あるいは遺言書)〟といったタイトルがありますが、法律によって必ずタイトルを書かなければならないといった規定は特にありません。

しかし、遺言であることを明確にする意味でも〝遺言状〟と記しておいた方がよいかと思われます。





遺言状サンプル

遺言状


遺言者 山田太郎は、次のとおり遺言する。

1.妻 山田花子には、下記財産を相続させる。

  (1)土地
     所在 東京都世田谷区○○町○丁目○番
     地目 宅地
     地積 200.00㎡

  (2)建物
     所在 東京都世田谷区○○町○丁目○番○号
     家屋番号 ○番
     種類 木造瓦葺2階建居宅
     床面積 1階 60.00㎡
         2階 35.00㎡

  (3)○○銀行○○支店 遺言者名義(口座番号××××)の定期預金、全額

2.長男 山田雅夫には、下記財産を相続させる。

  (1)○○銀行○○支店 遺言者名義(口座番号××××)の普通預金、2分の1
  (2)遺言者所有の自動車1台

     車名 ○○○○
     型式 ABC
     車台番号 ABC-1234

3.長女 山田亮子には、下記財産を相続させる。

  (1)○○銀行○○支店 遺言者名義(口座番号××××)の普通預金、2分の1
  (2)○○株式会社の株式 1万株

4.上記以外の財産については、妻 山田花子、長男 山田雅夫、長女 山田亮子に、それぞれ法定相続分どおり相続させる。

5.本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。


                             住所 東京都渋谷区○○町○丁目○番○号

                                       弁護士 田中真一

                            平成○年○月○日
                                 東京都世田谷区○○町○丁目○番○号
                                       遺言者 山田太郎