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遺言信託とは?

その存在自体が、一般的には、まだあまり浸透していませんが、近年、自分の死後に生じる相続や遺言の効力に関心をもつ人が増えたせいか、遺言信託に少なからず注目が集まっています。

では、遺言信託とは何か・・・?

本来の姿は、遺言者の財産を信託会社に移転し、その財産を管理・運用してもらいましょうという制度です。

つまり、ひとつ例をあげるとするならば、障害者や幼い子供など、管理能力に乏しい者が、近い将来、相続人になることを考えた遺言者が、信託銀行に相続財産を委託し、その財産を管理・運用して得られた収益を相続人に交付(支給)することで、遺言者の死後も相続人が安定した生活を送れるような仕組みになっているということです。

しかし、現在、大半の信託銀行が行っている遺言信託業務は、やや異なるサービス内容になっています。

※ 最近は契約者死亡後も運用を続け、収益を遺族に分配する新サービスも増えているようです。

具体的には、主に遺言書の作成支援から保管までをサポートする契約と、契約者(遺言者)が死亡した後も引き続き遺言執行者として遺言内容の実現をはかる、いわゆる遺言執行者付き契約の2種類です。

※補足:法律によって銀行が信託業務で引受けられる範囲は財産に関するものだけです。したがって、身分(相続人の廃除など)に関する事項については遺言信託は及びません。

遺言信託における主なサービス内容については、下記表のとおりです。
遺言信託の業務内容
・遺言書の作成、保管
・遺産分割に関する相談
・遺産の一時保管
・財産目録の作成
・遺言内容の執行
・税金面での相談 …など
なお、遺言信託を利用する主なメリットとしては、弁護士とは異なり、信託会社という組織に依頼するため、遺言書の管理や執行が数十年先になっても比較的安心(依頼した弁護士が途中で亡くなるといった心配がない)であることや、不動産の活用方法や資産運用の相談をはじめ、税金対策など、トータル面での専門的アドバイスが受けられる点です。

また、信託銀行が用意しているサービスのひとつとして〝遺産整理〟というものもあります。

これは、被相続人が遺言を残さずに死亡した場合(あるいは、遺言はあるが、遺言執行者が指定されていない)に、相続上、必要となる複雑な手続きや遺産の分配などを請負うサービスのことです。

※ 具体的なサービス内容としては、法定相続人の確定や相続財産の調査、不動産の名義変更、遺産分割協議のアドバイスなどが挙げられます。

したがって、先に挙げた遺言信託とは異なり、相続人と信託銀行との間で委任契約が結ばれることになります。





遺言信託:一連の手順

信託銀行と遺言信託契約を結んだ場合の通常の一連の流れについては、下記のとおりです。
遺言書作成の相談・文案の作成
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公証役場にて公正証書遺言書の作成
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信託銀行による遺言書(正本・謄本)の保管
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遺言内容や財産など、遺言にかかわる異動・変動の定期的な照会
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通知人(相続人などが指定)による遺言者死亡の連絡
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相続人や受遺者に対し遺言執行者の就任通知
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財産目録の作成・報告
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遺言の執行
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遺言執行完了の報告



遺言信託を利用するに相応しい者とは?

遺言信託には、基本手数料のほか、相続が開始されるまで毎年発生する遺言書保管料や遺言執行報酬などの費用がかかるため、その金額は決して安くはありません。
基本手数料 5~30万円程度
遺言書保管料 5,000~10,000円程度 / 年
遺言執行報酬 100~150万円前後を最低報酬額として設定している場合が多い
※ あくまで目安であり、上記表よりも安い(高い)費用で請負う信託銀行もあります。


遺言者の財産を管理・運用することによって、受益者に対し、その利益を支給することが目的のひとつでもあることから、遺言信託を利用される方は、不動産や動産等の財産が1億円を超えるような資産家に多いのが現状であり、相応しい制度といえるかもしれません。
遺言信託を利用する主な動機
チェック 自分の死後、相続人の財産管理能力に心配がある...
チェック 動産・不動産をはじめ、物権や債権など、複数の財産を所有している...
チェック 親族同士での遺産相続トラブルを出来るだけ未然に防止したい...