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かつて日本では家督相続という制度がありましたが、今でもこの考えを強く主張する相続人がいると、相続時に何かと揉めるようです。

そこで、家督相続とはいったいどのような制度であったのか・・・

基本的なことを少しまとめておきましょう。



家督相続とは?

明治31(1898年)年7月16日に施行された旧民法下では、家督相続制度がとられていました。

家督相続とは、戸籍上の家の長として、これまで戸主がもっていた地位(一身に専属するものを除いた一切の権利義務)を、次に戸主となる者が1人で承継することで、嫡出長男子による単独相続を原則としていました。

つまり、簡単に言ってしまえば、兄弟が何人いようと、基本的には長男が家督相続人となり、家の財産をすべて受け継ぐ…ということです。

前戸主の身分や財産をすべて受け継いだ家督相続人は、家の財産を守り、一族の面倒をみる立場にも立たされるため、戸主となる者はとても強い権限を持っていたといえます。

ところが、時代の流れとともに人々の意識や社会状況が少しずつ変わっていき、このような独占的な相続は相応しくないということで、昭和22年(1947年)に施行された現日本国憲法の精神に則った形で大幅に改正された現民法が、翌年の1月1日から施行されました。

この法改正により、旧民法下で行われていた独占的な家督相続制度は廃止され、長男、次男、長女、次女等関係なく、子や配偶者であれば平等に相続することができる法定相続制度が定められました。




家督相続の特徴

現行民法では、相続は死亡によってのみ開始されます【民法 第882条】が、旧民法下で行われていた家督相続は、必ずしも戸主の死亡によってのみ発生するわけではありません。

※ 戸主以外の家族の者の財産については死亡相続となります。

そのため、隠居や入夫婚姻、国籍喪失といった戸主の生前中に家督相続が発生することもありました。

また、旧民法下では長男が家督相続するのが大原則でしたが、仮に長男がいなかった場合であっても、誰を相続人とするか明確なルールがありました。
隠居 戸主が家督を他の者に譲って隠退すること
入夫婚姻 夫となる者が女戸主である妻の家に入る婚姻のこと(または夫が離婚して家を出たとき)

家督相続人の優先順位
第1順位 第1種法定推定
家督相続人
被相続人(前戸主)の直系卑属。複数いる場合は、被相続人と親等が近い者。(男子・年長・嫡出子が優先、また、女子の嫡出子より男子の認知された非嫡出子が優先)
第2順位 指定家督相続人 被相続人(前戸主)が生前(または遺言)によって指定した者
第3順位 第1種選定
家督相続人
被相続人(前戸主)の父母や親族会が同籍の家族の中から選定した者
第4順位 第2種法定推定
家督相続人
被相続人(前戸主)の直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母等)
第5順位 第2種選定
家督相続人
被相続人(前戸主)の親族会が、親族・分家の戸主、または本家・分家の家族もしくは他人(正当事由による裁判所の許可が必要)の中から選定した者
現行民法は平等相続であり、かつての独占的な家督相続に比べれば聞こえはいいですが、その分、遺産をめぐる相続トラブルという点からみると、皮肉にも昔より増えているようです。
遺産分割事件(調停・審判)の推移
昭和30年
2,661件
矢印
昭和40年
4,120件
矢印
昭和50年
5,229件
矢印
昭和60年
6,176件
矢印
平成20年 平成21年 平成22年
12,879件 13,505件 13,597件
※ 参考 … 最高裁判所司法統計年報