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公正証書遺言が安全、かつ、確実な理由

被相続人は、遺言書を書き残すことによって、死亡した後の自らの財産の行方について、自由に指定し処分することができます(ただし、原則として遺留分を侵害しない範囲内であることが条件)。

なお、遺言書の作成方法については、特別な場合を除き、下記に示す3パターンの中からどれかひとつを選択しなければなりません。

※ 特別な場合とは、病気によって死期が迫っていたり、船舶の遭難などによって緊急を要するような場合に認められる遺言のこと。
自筆証書遺言 遺言の内容をすべて、遺言者が手書きで作成する。
※ 録音テープ、代筆、パソコンなどを使って作成した遺言は無効!
秘密証書遺言 被相続人が作成した遺言(署名意外は手書きでなくともよい)を封に入れ密封した後、その封書を公証役場に提出し、公証人と証人2名の立会いのもと、遺言書の存在を明らかにする、いわば自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置する制度。
公正証書遺言 公証役場にて手数料を支払い公証人に遺言書を作成してもらう。
すると、ここでひとつの疑問が湧いてきます。

遺言には、法律によって上記3パターンの作成方法が認められており、その中からどれかひとつを選択すれば良いのであれば、なにもわざわざ一番手間がかかりそうな公正証書で作成する必要はないのではないか? と・・・

確かに、その通りです。

公正証書遺言を作成するためには、証人を引き連れて公証役場へ行き、手数料を払って公証人に作成してもらう必要があります。

だったら、自筆で残せる自筆証書遺言で十分なのではと思われる方がいたとしても、少しも不思議ではありません。

にもかかわらず、公正証書遺言で作成する被相続人が後を絶たないのは、他の2方式に比べて、安全かつ確実とされる方法だからです。

では、ここで公正証書遺言を作成する主なメリットについて挙げてみましょう。
公正証書遺言を作成する主な理由
チェック 法律に詳しい公証人が作成するため、遺言内容や様式不備による無効の心配がない。
チェック 遺言書の原本は公証役場で保管(20年間 or 遺言者が100歳に達するまでのどちらか長い期間)されるため、紛失や変造・隠蔽の恐れがない。
チェック 公証人と証人2名の立会いの下、遺言書が作成されるため、遺言の効力をめぐっての争いが起こる可能性が極めて低い。
チェック 他の2方式で必要となる検認手続き(家庭裁判所で遺言書を開封すること)を省くことができるため、相続が開始した場合には、直ちに遺言書の内容を実行に移すことができる。



公正証書遺言の作成手順について

公正証書遺言は自筆証書遺言とは異なり、公証人という法律のプロが関与し作成する書面なので、遺言作成時に注意しなければならない細かな点については、あえて省略します。

そこで、公正証書遺言の作成手順について、ひと目で分かるよう簡単な表にしてみたので、参考にしてください。
①証人2名の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨(内容)を公証人に口述(口頭で話す)する。
矢印
②公証人は遺言者の口述を筆記し書面にしたためた後、遺言者および証人に対して読み聞かせる。
矢印
③書面の内容を確認した後、遺言者および証人は、各自署名押印する。
矢印
④公証人は公正証書遺言作成方式に従って作成した旨を附記すると共に、自ら署名押印する。
※ 民法の一部改正により、聴覚または言語機能に障害がある遺言者も、通訳人等を介することによって、口述に変える公正証書遺言の作成が可能です。




コレだけは押さえる!公正証書遺言の常識

公証役場イメージ公正証書遺言を作成するためには、公証役場に持参しなければならない書類等があります。

遺言書作成時に必要な書類等の不備がないよう、十分に気をつけてください。

なお、公正証書遺言は、必ずしも公証役場で作らなければならないといった規定はないため、遺言者が病気で入院していたり、あるいは、足が不自由で思うように歩けないなどの理由がある場合には、公証人と事前に打ち合わせを行うことによって、遺言者の自宅や入院先で作成することも可能です。
公正証書遺言作成時に必要な主な書類等
チェック あらかじめ作成しておいた場合には、その遺言内容のメモ
※ 内容が分かればよいので録音テープなどでもOK!
チェック 遺言者の印鑑証明書(発行後6ヶ月以内)
チェック 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍(除籍)謄本など
※ 相続人以外に遺贈する場合は、受遺者の住民票
チェック 財産リスト(一例)
・不動産の場合 … 不動産登記簿謄本 / 不動産の固定資産評価証明書
・動産の場合 …… 預貯金(金融機関名、支店名、口座番号、金額)
         有価証券など(証券種類、発行者、証券番号、口数など)
         自動車(登録証の写し)
         債権など(その権原を証する書面の写し)
         高額な美術品・骨董品(詳細を記載したメモ)
チェック 証人となる2名の住所・氏名・生年月日・職業がわかるメモ
※ なお、未成年者、推定相続人、受遺者とその配偶者、直系血族、四親等内の親族、被成年後見人、被保佐人、被補助人、公証人の配偶者…等は証人にはなれません。
チェック 遺言執行者を指定する場合は、その者の住所・氏名・生年月日・職業を記載したメモ
チェック 遺言者の実印と証人2名の認印(遺言公正証書作成当日)
公正証書遺言のデメリット
公正証書遺言は確かに安全・確実なものとして極めて高い能力を備えていますが、デメリットが全くないわけではありません。

遺言者は、次に挙げるような点も踏まえた上で、民法で定められた3つの遺言書作成方式の中からどれが最も良いかを十分に検討し、納得した上で選択することが大切です。
遺言書作成手数料
遺言書作成手数料として、下記表に示すように目的価額によって費用が発生します。(ただし、比較的安価)

※ 目的価額とは、その行為によって得られる一方の利益、つまり、公正証書を作成する目的となっているものの金額のことです。

なお、費用(手数料)の詳細については、公正証書遺言の作成費用Q&A をご覧下さい。

目的価額 手数料
~100万円以下 5,000円
100万円超 ~ 200万円以下 7,000円
200万円超 ~ 500万円以下 11,000円
500万円超 ~ 1,000万円以下 17,000円
1,000万円超 ~ 3,000万円以下 23,000円
3,000万円超 ~ 5,000万円以下 29,000円
5,000万円超 ~ 1億円以下 43,000円
1億円超~3億円以下 43,000円 + 5,000万円超過ごとに13,000円加算
3億円超~10億円以下 95,000円 + 5,000万円超過ごとに11,000円加算
10億円超~ 249,000円 + 5,000万円超過ごとに8,000円加算
遺言の存在(内容)を秘密にしにくい
遺言書作成時には、必ず2名の証人が欠かせないため、遺言の内容については絶対に誰にも知られたくない!という方には不向きです。

つまり、他の遺言書(自筆証書や秘密証書)に比べると、遺言内容の秘密を保ちにくいといったデメリットがあります。