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コレだけは押さえる!民法【遺言】の常識

被相続人は遺言を残すことによって、死亡した後の自らの財産の行方について、自由(ただし、原則として遺留分を侵害しない範囲内)に処分することができます。

遺言は相続トラブルを回避するための手段となりえますが、民法に定められたルールに従わなければ効力は発揮しませんので、細心の注意が必要です。


遺言ができる年齢【961条】
原則、15歳以上の者であれば遺言を残すことが出来ます。

※ 精神障害などで判断力がない者の遺言は無効ですが、成年被後見人や被保佐人、あるいは被補助人も正気である限り、単独で遺言をすることができます。

なお、遺言制度は本人の意思を尊重するという観点から、代理人による遺言は認められていません。
遺贈【964条~】
遺贈には大きく2種類に分けられますが、簡単に言うと遺言によって財産を分け与える行為のことです。

法定相続人の遺留分を侵害する遺贈については、後日、遺留分減殺請求の返還対象となりますが、被相続人の意思により、自由に処分することが出来ます。
特定遺贈 遺言で特定した財産を与える【例:金○○円、○○にある別荘を遺贈する…など】
包括遺贈 与える財産を具体的に指定するわけではなく、割合を指定する【例:遺産の1/4を与える…など】
つまり、法定相続人以外の者(知人、友人、愛人、○○慈善事業団体への寄付…など)にも、遺産を譲ることができるということです。
遺言の方式【967条~】
遺言は民法で定めた方式に従わなければ無効となります。

普通方式と特別方式がありますが、実務上、特別方式が用いられることは滅多にありません。

※ 特別方式とは、病気によって死期が迫っていたり、船舶の遭難などによって緊急を要するような場合に認められる遺言のこと。
自筆証書遺言 遺言の内容をすべて、遺言者が手書きで作成する。
※ 録音テープ、代筆、パソコンなどを使って作成した遺言は無効!
秘密証書遺言 被相続人が作成した遺言(署名意外は手書きでなくともよい)を封に入れ密封した後、その封書を公証役場に提出し、公証人と証人2名の立会いのもと、遺言書の存在を明らかにする、いわば自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置する制度。
公正証書遺言 公証役場にて手数料を支払い公証人に遺言書を作成してもらう。
遺言執行者【1006条~】
民法1006~1021条では、遺言執行者に関するルールが設けられています。

遺言執行者とは、遺言の執行のために指定(あるいは家庭裁判所による選任)された者を指します。

遺言執行者については、必ずしも指定しなければならないというわけではありませんが、争いの起こりやすい相続においては、遺言内容をスムーズに進めるために、相続に利害関係のない弁護士や司法書士等の法律専門家を遺言執行者として定めておくのもトラブルを未然に防止するための賢明な策と言えるでしょう。
遺言の取消し【1022条~】
遺言とは、被相続人の意思を最大限尊重する観点から、被相続人は、遺言の一部(あるいは全部)をいつでも好きなときに自由に撤回し取消すことが出来ます。

一度、作成した遺言書の内容を撤回するには、被相続人が新たに遺言を作成する(遺言書が複数存在する場合、日付が最も新しいものが優先)か、遺言書を破棄すればよいとされています。

また、遺言書で処分することになっていた指定財産を、被相続人が生前、自らの意思で処分してしまえば、その指定財産については撤回があったものとみなされます。






コレだけは押さえる!民法【遺留分】の常識

本来、被相続人(財産を残し亡くなった人)が、生前、所有していた財産については、遺言によって自由に処分することができますが、もし仮に、被相続人が遺言によって『全ての財産を愛人に譲る…』などと指定した場合はどうでしょう。

残された家族の者が経済的に自立している場合には、それほど問題にならないケースもありますが、被相続人の財産に依存していた子供や配偶者にとっては、財産をすべて失うことになるため、今後の生活に困ってしまうといった深刻な事態に直面しかねません。

そこで、被相続人の財産に依存していた親族の生活保障や、被相続人の財産維持・増加に貢献した者への潜在的持分を顕在化させる等の必要から、法定相続人には、必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利が民法によって規定されています。

そして、法定相続人に与えられたこの権利のことを〝遺留分減殺請求〟と呼んでいます。
遺留分の割合【1028条】
被相続人が遺留分に反した遺言を残した場合、法定相続人は被相続人の財産を受取ったものに対して、民法で定めたルールに則った範囲内での遺留分減殺請求を行使することが出来ます。

なお、遺留分減殺請求の権利は、被相続人の兄弟姉妹にはないので注意が必要です。
相続人 遺留分の割合
配偶者のみ 被相続人の財産の1/2
配偶者 + 子
配偶者 + 父母
父母のみ 被相続人の財産の1/3
兄弟姉妹 なし
遺留分減殺請求の時効【1042条】
遺留分減殺請求には時効があります。

相続開始、および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内に、遺留分を侵害している相手方に請求しなければ、その権利はなくなります。

また、贈与等によって遺留分が侵害されていることを法定相続人が知らなくとも、遺留分減殺請求の権利は、相続開始のときから10年経過すると消滅してしまうので注意が必要です。
遺留分の放棄【1043条】
遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

これは、被相続人に無理やり放棄するよう強要される等の圧力を回避したり、後で相続放棄の有無について争いが起こらないよう、トラブルを未然に防止するための措置といってよいでしょう。

なお、相続開始前に遺留分を放棄する相続人が出ても、他の相続人が遺留分減殺請求することによって得られる額が、その分増えるわけではないので、「遺留分の放棄者が1人増えるごとに、自分の取り分が増える!」と勘違いしないでください。

遺留分減殺請求の詳細については、こちらをどうぞ。
矢印遺留分減殺請求の常識