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遺贈と似ている行為のひとつに〝死因贈与〟というものがあります。

両者はとても近い性質をもっていますが、法律的にはどのような違いがあるのか、少し整理してまとめておきましょう。

遺贈と死因贈与の違い

遺贈とは、民法で定める遺言方式【民法 第960条~】によって贈与することができる法律行為であり、贈られる側(受遺者)の同意を必要としません。

つまり、遺言者の一方的な意思表示によって行われるものです。

遺贈と死因贈与のイメージ一方、死因贈与とは「自分が死んだら、君に〇○(財産)をあげるよ」といった贈与者の言葉に対して「では、いただきます」と貰い受ける側(受贈者)が受諾することで成立する法律行為です。

そのため、死因贈与は当事者間の合意による契約であるという点で、遺贈とは大きく異なってきます。
遺贈 死因贈与
似ている点 死亡によって自己の財産権が相手に移転する
異なる点 一方的な意思表示による単独行為
矢印相手側(受遺者)の承諾は不要!
当事者間の事前の合意による契約行為
矢印相手側(受贈者)の承諾が必要!






死因贈与の特徴

先に遺贈と死因贈与の大きな違いについて触れましたが、死因贈与は契約の一種なので、他にも次のような特徴がみられます。
方式が自由!
遺言は民法で定める方式に従わなければ無効となりますが、死因贈与はあくまで〝契約〟なので、遺言方式にとらわれることなく、自由(公序良俗に反する等は除く)に取り決めることができるため、口頭による口約束であったとしても成立します。

ただし、口約束だけでは証拠能力が乏しいため、後々、無用なトラブルを避ける意味でも、死因贈与は契約意思を明確にする書類を作成しておいた方が賢明です。
原則、死因贈与は撤回できる!
先に死因贈与は口約束でも成立すると言いましたが、書面によらない贈与は、履行前であれば、いつでも自由に撤回(ただし、既に履行し終えた部分は除く)することができます。

また、民法では死因贈与については、遺贈に関する規定を準用する【民法 第554条】立場をとっていることから、遺贈と同様、書面による死因贈与契約をした場合であっても、原則として自由に撤回することができるとしています。

しかし、過去の判例を振り返ってみると、前提条件を付けた負担付き死因贈与契約が結ばれたような場合は、撤回が認められないケースもあるようです。

※ 負担付き死因贈与:贈与者に何かしらの義務・負担(同居して老後の面倒を見る…など)を課すことを条件に贈与する契約のこと。

つまり、受贈者に突き付けられた義務や負担の一部(または全部)が、既に約束どおり果たされている場合にまで、一方的な撤回を認めてしまうと不公平なので、裁判所は撤回を認めないこともあるということです。
受贈者が既に条件(負担)を履行していた場合の負担付き死因贈与契約は、特段の事情がない限り、自由に撤回することはできないとしたケース

【最高裁判例 昭和57.4.30】
負担付き贈与が、裁判所の和解により成立した場合は、その死因贈与契約を自由に撤回することはできないとしたケース

【最高裁判例 昭和58.1.24】
相続のように承認・放棄は認められない!
死因贈与はあくまで契約なので、双方(贈与者と受贈者)の合意によって成立する以上、相続の承認・放棄に関する規定は適用されません。

したがって、贈与者が自分の意思を確実に実現したい場合には、非常に有効な手立てのひとつといえます。
未成年者は親権者の同意(または代理)が必要!
死因贈与はあくまで契約です。

20歳未満の未成年者が契約等の法律行為を行うには、法定代理人(親権者や後見人など)の同意、または代理を必要とします。

※ 遺言に関しては、未成年者であっても、15歳以上であれば、法定代理人の同意(代理)なしにすることができます【民法 第961条】。
相続税の対象となる!
〝贈与〟が付いているため、死因贈与は、一見、贈与税の対象となりそうですが、財産の移転に関しては、遺贈と同様、相続税の対象となります。

また、死因贈与契約の内容が不動産の移転に関するものである場合は、不動産取得税(相続の場合は課税されない)や登録免許税がかかってきます。