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相続の悩み相談10
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Q17.相続と未成年者

相続の悩み相談
夫が亡くなりました。相続人は妻である私と息子、そして義父ですが、息子はまだ12歳の未成年者です。母親である私が子供の代理人として遺産分割協議を行えばよいのでしょうか。
法律上、婚姻経験のない20未満の者(未成年者)は、その行為能力が制限されているため、原則として、法定代理人の同意を得ずに勝手に契約(法律行為)を結んだとしても、取り消されてしまうことがあります。

したがって、遺産分割協議も法律行為のひとつなので、未成年者本人が協議書に自ら署名押印をしたとしても、それだけでは不十分です。

※ 家庭裁判所による特別代理人を選任せずに行った遺産分割審判手続きを無効とした判例【東京高決 昭和58.3.23】があります。

未成年者の場合は、通常、両親が法定代理人として、子供の生活全般における法律行為や財産管理を行うことになりますが、相続における遺産分割協議では、双方代理(子と共に親(父母)も相続人に該当する場合)は認められていません。

これは、客観的に見ると子と代理人である親の利益が相反していることから、双方代理を認めてしまうと、公平な遺産分割が行われない恐れが出てくるためです。

親が子供にとって不利になるようなことはしない!といった非難の声も聞こえてきそうですが、世の中には、あなたと異なる考えの持ち主も少なからずいることを考慮し、子の利益が害される危険性を少しでも排除するため、このような制度を設けているのです。よって、あなたのお子さんが未成年者であり、かつ、共同相続人の1人である以上、母親であるあなた以外の代理人を立てる必要がでてきます。

そこで、親権者であるあなたは、家庭裁判所(特別代理人の選任を受ける子の住所地)に子の特別代理人を選任してもらい、お子さんに代わって、その特別代理人に遺産分割協議に参加してもらってください。

特別代理人を選任してもらう際には、申立書に候補者記入欄がありますので、相続人にとって利害関係のない者(叔父・叔母、弁護士など)を候補者として記入しておくと良いでしょう。
特別代理人の請求に必要な書類
チェック 特別代理人選任申立書
チェック 収入印紙
チェック 戸籍謄本・住民票・郵便切手 …など
※ 添付書類等の詳細については、管轄の家庭裁判所で要確認!



Q18.相続と胎児

相続の悩み相談
夫が交通事故で亡くなりましたが、現在、私は2人目の子を身ごもっています。胎児は相続人になりえるのでしょうか?また、もし仮に胎児にも相続人としての資格があるならば、遺産分割はどのようにしたらよいのでしょうか?
相続における胎児の扱いについては、法律上、次のような規定があります。
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

② 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、これを適用しない。

【民法 第886条 相続に関する胎児の権利能力】
したがって、まだ生まれてきてはいませんが、あなたが身ごもっているお子さんについても、一応、相続人としての権利があるのは確かです。

さて、問題は遺産分割の仕方ですが、もし仮に胎児が生まれてくることを前提に先に遺産分割協議を行ってしまうと、実は1人ではなく双子(三つ子)だった、あるいは流産してしまった等の問題が発生した場合、後に各共同相続人の相続分が変わってきてしまうので、後々面倒なことになってきます。

胎児の遺産分割については、学説でも分かれており、① 胎児が生まれてくるまでは遺産分割協議はできないとする説と ② 遺産分割協議は行えるが、生きて生まれてきた場合には、事後、価額による支払いをすればよいとする説がありますが、先に述べた理由からいっても、特に早急に遺産分割をしないと困るといった事情がないのであれば、胎児が生まれてくるまで可能な限り遺産分割は待った方が無難かと思われます。