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相続の悩み相談11
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Q19.相続放棄の注意点

相続の悩み相談
生前、父の療養看護に努めてきた兄に、父の遺産をすべて譲りたいと思っています。そこで、相続放棄の手続きと注意点などがありましたら教えてください。
相続人が〝相続放棄〟をするためには、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。

この手続きを踏むことで、その相続人は、はじめから相続人にはならなかったものとみなされるため、被相続人(亡くなった人)の遺産(借金等のマイナス財産も含む)を放棄することができるのです。

したがって、家庭裁判所の手続きを経ずに、他の共同相続人に対し「自分は相続を放棄します」と進言し合意が得られていたとしても、法的な相続放棄の効果が生じるわけではないので注意が必要です。

さて、あなたはお兄さんに、すべての遺産を譲るため相続放棄をしたいとのことですが、相続放棄の手続きを行う際には、主に次の点を理解しておく必要があります。
相続放棄の注意点
チェック自分のために相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に申述書を提出すること!※「相続開始を知ったときから…」とは、遺産の存在を知ったとき、あるいはすぐに知ることができるようになったときからであるとの判例があります。

チェック遺産の全部(または一部)を処分したり、遺産の全部(または一部)を隠していたような行為がみられると、相続放棄をしても単純承認をしたとみなされる恐れがある!

チェック一旦、家庭裁判所に〝相続放棄〟が受理されてしまうと、詐欺・脅迫などの特別な理由がない限り、二度と取り消すことはできない!

チェック相続欠格や相続排除とは異なり、相続放棄では代襲相続は起こらない!
相続放棄のポイントなお、相続放棄の申述先となる家庭裁判所は、被相続人の住所地(または相続開始地の家庭裁判所)となります。

申出を受けた家庭裁判所は、相続放棄者が、本当に本人の意思によるものであるかどうかを確認した後、その申出を受理することになります。
相続放棄に必要な書類等
相続放棄申述書 家庭裁判所で入手
郵便切手 連絡用に使用
収入印紙 800円 / 1人
戸籍謄本 申立人+被相続人
除籍謄本・住民票の除票 被相続人
印鑑 認印でOK!
※ 事案や各家裁によって添付書類は異なるため、提出先
の裁判所に要確認!



Q20.生前の相続放棄

相続の悩み相談
「親父の事業は、今後もオレが引き継ぐから、お前は相続放棄をしてほしい」と兄に言われました。私はそれでも構わないと思っているのですが、父の生前に相続放棄をすることは可能でしょうか?
父親がご健在である以上、推定相続人が被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。

したがって、家庭裁判所が許可しないのはもちろん、仮にあなたとお兄さんの間で、相続放棄に関する書面を作成していたとしても、法的な相続放棄の効果はまったく生じないので、もしあなたが相続放棄をするのであれば、父親が亡くなり相続が開始した後に、家庭裁判所に申述しなければなりません。

なお、相続放棄に似たものとして〝遺留分の放棄〟というものがありますが、こちらについては、被相続人の生前に放棄することも可能です。

遺留分放棄の手続きについては、遺留分Q&A:Q2をご覧下さい。