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相続の悩み相談12
Top相続遺言遺留分Q&A

Q21.遺産分割協議のやり直し

相続の悩み相談
遺産分割協議をした後に、協議時にはなかった財産が新たに出て来ました。この場合、再度、相続人間で遺産分割協議を行わなければならないのでしょうか?
遺産分割協議は、共同相続人全員の合意によって、はじめて成立します。

通常、遺産分割協議では協議書を作成しますが、いったん成立した協議書は、特別な理由(無効や取り消し、相続人の1人を無視した協議…など)がない限り、相続人はその内容に従う義務があり、後日、気に入らないからと言ってやり直しを求めることはできません。

※ ただし、相続人全員の合意があれば、やり直しも可能。

したがって、遺産分割協議後、被相続人の新たな財産(遺産)が発覚した時は、その財産について、共同相続人間で別途協議を行えばよく、再度、遺産分割協議をやり直す必要はありません。

ただし、協議後に発覚した財産が相続人にとって重要なものであり、相続人の内の誰かが、錯誤無効の主張(そのような財産があると知っていれば、あの財産は譲らなかった…など)等をしてきた場合には、遺産分割協議を、もう一度はじめからやり直さなければならないケースもあるでしょう。




Q22.内縁の妻と相続

相続の悩み相談
私はある男性と、かれこれ15年以上同居し生活を共にしていますが、いまだ籍は入れておりません。彼はバツイチで、今では独立して生計を立てている2人の子供がいるようですが、私にも内縁の妻として、いくらか相続権はあるのでしょうか?
民法では、被相続人の配偶者と、一定範囲内の血族に相続権を認めていますが、この〝相続権を認める配偶者〟とは、法律上、入籍(婚姻届をした男女)している夫婦間に適用されます。

したがって、バツイチの彼と長年生活を共にし、事実上の夫婦関係にあったとしても、婚姻届を出していない以上、法律上の夫婦関係にはないため、あなたに相続権はありません。

よって、あなたと同棲している彼が亡くなった場合には、独立している2人の息子さんが相続人として遺産を相続することになります。(離婚した元妻に相続権はありません)

※ ただし、居住用の借家権については、余程のことがない限り、他に相続人がいたとしても、貸主や相続人からの明渡請求があっても拒めるとした判例があります。
民法で定めた法定相続人
順位 法定相続人
第1位 配偶者は常に相続人となる
第2位 父母
第3位 兄弟姉妹
しかし、内縁の妻であるあなたにも、同居している男性から遺産を受取ることができる場合もあります。

ひとつは、遺言による方法です。

被相続人は、所有する財産を自らの意思で自由に処分することができるため、彼にあなたに遺産を譲るといった文面の遺言書を作成してもらうのです。

遺言を残すことによって、2人の息子さんの遺留分を反しない範囲内での財産を譲り受けることができるようになります。

ふたつめは、特別縁故者として財産分与を受ける方法です。

特別縁故者とは、法律上、次のように規定されていますが、事実上の婚姻関係にある内縁の妻も、これに含まれるとされています。
前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

【民法 第958条の3 特別縁故者に対する相続財産の分与より一部抜粋】
ただし、特別縁故者として財産分与を受けるには、相続人が存在しない場合に限ります。

したがって、2人の息子さん(孫も含む)が、相続開始時に生存している以上、財産分与を受けることはできません。

婚姻届を出していない事実上の夫婦関係にある者にも、配偶者と同様の地位を与えるべき(あるいは相続権を考慮すべき)であるとの意見や判例も少なからずありますが、現実問題として、厳しい立場に置かれる事は間違いありません。

そこで、今からでも遅くはないので、同居している彼と話し合い、婚姻届を出しておくことが相続においては最も確実な方法ですが、それが叶わないのであれば、少なくとも遺言は残してもらうようにしてもらうべきでしょう。