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相続の悩み相談15
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Q27.遺産分割協議の無効

相続の悩み相談
2人の息子と亡き夫の妻であった私の3人で遺産分割協議を行いましたが、先日、夫の書斎から遺言らしきものが新たに見つかりました。この場合、先に成立した遺産分割協議は無効になるのでしょうか?
被相続人が遺言を残している場合には、その遺言内容が優先されます。

しかし、あなた方相続人のように、遺言の存在を知らずに遺産分割協議を行ってしまった・・・というケースもないとは言いきれません。

これは遺言者がこっそりと作成することのできる〝自筆証書遺言〟制度があるからです。

ちなみに、相続人全員が遺言書の存在を知らず、遺産分割協議後に分割方法を指定した遺言書が見つかった事件がありますが、これについて最高裁は「遺言の存在を知らないで行った遺産分割協議は、要素の錯誤により常に無効になるとはいえない」と解される判決【平成5.12.13】を下しています。

つまり、遺産分割協議後に遺言が見つかったからといって、必ずしも当然に協議そのものが錯誤によって直ちに無効になるとは限らず、遺言の存在を知っていれば、そのような分割協議には応じなかったといえるような事情がある場合に錯誤無効を認めるということなのでしょう。

さて、あなたのケースについてお答えしますが、あなたの夫が残した遺言内容がどのようなものであるか定かではありませんが、その遺言書が有効である以上、原則、遺言に反する遺産分割は無効であると考えてください。

しかし、遺言書を見せた後で、共同相続人(2人の息子)が先に行った遺産分割協議に納得しているようであれば、なにも遺言書に指定してある分割を行ってから、再度、遺産分割協議書を作成する手続きを取ることもないように思われます。

※ ただし、遺言書に遺言執行者が指定されている場合には、相続人は遺言執行者の執行権利を妨げることはできないため【民法 第1013条】、再度、遺産分割が行われることもあります。

また、遺言書にあなた方相続人以外に対する遺贈等が指定してあったり、認知や相続人廃除などの身分関係に関する事項が記載されているような場合には、相続分の範囲が変わってくるので、後々のトラブルを回避するためにも、まずは遺言の指定どおり遺産分割を行うべきでしょう。




Q28.遺産分割と相続登記

相続の悩み相談
遺産分割協議で父の別荘は私が譲り受けることになりましたが、いまになって相続人の1人が「あの話はなかったことにして欲しい」と言い出したため、移転登記手続きに協力してくれません。この場合、どうしたらよいのでしょうか?
遺産分割協議後における相続登記では、相続人全員の実印が押された遺産分割協議書や印鑑登録証明書を添付書類として提出しなければならないので、登記申請に必要な書類に不備などがあれば相続人に協力してもらう必要があります。

さて、相続人のひとりが、1度は遺産分割協議に合意しておきながら、後になって「あの話はなかったことにしてもらいたい!」と協議に反する異を唱えることは許されません。

一旦、成立した遺産分割協議は、無効や取り消しの原因でもない限り、やり直しを主張することはできません。

遺産分割協議イメージ※ ただし、共同相続人全員で話し合い、合意が得られれば、解除した上、改めてその全部(あるいは一部)の分割協議をやり直すことはできます。【最高裁 平成2.9.27】

そこで、あなたとしては、まず、その相続人と話し合い、登記手続きに協力してくれるよう説得して下さい。

頑として話し合いに応じないようであれば、家庭裁判所に調停(あるいは審判)の申立てを行うか、訴訟によって解決を目指すしかありません。

ただし、遺産分割協議が行われた時に作成した協議書が法的に有効な書面であれば、明白な事案であるため、手続きから結果がでるまでにかかる時間は短期間で済むかと思われます。