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Q11.特別受益証明書とは

相続の悩み相談
友人から、相続登記には特別受益証明書があると何かと便利だとアドバイスを受けましたが、特別受益証明書とは何ですか?
特別受益証明書とは、被相続人の生前に、自分は相続分相当の財産贈与を受けていたので、相続分はもうありません!といったような相続人の意思表示を書面にしたもので、「相続分不存在証明書」あるいは「相続分のないことの証明書」などと呼ばれることもあります。

この証明書を他の共同相続人から集めることができれば、遺産分割協議をしたものと変わりないので、家庭裁判所での手続き(相続放棄)等の煩わしさを回避するために、この方法が用いられることがあります。

また、あなたがご友人からアドバイスを受けたとおり、不動産登記においては、実務上、この「特別受益証明書」を添付した相続による所有権移転登記申請が認められています。

ただし、この証明書は相続放棄を証明するものではありません。

したがって、もらい受けるプラス財産はなくとも、場合によってはマイナス財産(負債)は相続しなければならないといったケースも出てくるので、負債だけは絶対に負いたくないという方は、家庭裁判所で相続放棄の手続き行ってください。
特別受益証明書の作成
用紙の種類・サイズ 自由(A4、B5…など)
筆記具 鉛筆以外(筆、ボールペン、ワープロ、パソコン…など)
印鑑 実印(印鑑登録したもの)
証明書サンプル
特別受益証明書


私は、被相続人 山田太郎からその生存中、私の相続分以上の財産贈与を受けたので、民法第903条第2項の規定により、相続する相続分のないことを証明します。

                平成○年○月○日
                    東京都○○区○○町○番地○
                        被相続人 山田太郎

                    神奈川県○○区○○町目○番○号
                         上記相続人 山田一郎印鑑




Q12.生前贈与と特別受益

相続の悩み相談
3人兄弟の中、私だけが、生前、父から何の贈与も受けていません。そこで、遺産分割協議の際には、兄(25年前:500万円のマンション)と姉(20年前:留学資金として250万円)が受けた生前贈与を特別受益として相続財産に含めてもらおうと考えていますが、その贈与財産はどのように評価したらよいのでしょうか?
あなたの父親が遺言によって「特別受益を除外して相続分割を行うように…」といった指定をしていた場合には、他の兄弟姉妹に与えられた生前贈与を除外した形で遺産分割協議を行わなければなりません。

※ ただし、他の相続人に行われた特別受益が、あなたの遺留分を侵害している場合は遺留分減殺請求を行使できます。

また、相続人に与えられる遺贈については、すべて特別受益に当たりますが、生前贈与は、あらゆる贈与が〝特別受益〟として認められるわけではないので注意が必要です。
特別受益となる贈与
婚姻・養子縁組
のための贈与
・持参金
・花嫁道具
・新居など
※ 結納金や挙式費用、新婚旅行費などは、基本的に特別受益に当たらないとされていますが、金額にもよるため、ケースバイケース。
生計の資本
としての贈与
・独立して事業を始めるための開業資金
・住宅購入(援助)資金
・他の相続人とは異なる高額な学費の出資(留学費用や医大進学費用など)
※ 新築祝い等の交際費的な意味合いの贈答費用などは除く。
まず、あなたのお兄さんが、25年前に受けた500万円相当のマンションは、通常、特別受益として相続財産に含めるのが一般的です。

ここで問題となるのが、25年前に受けた贈与財産を、どのように評価するかということになりますが、この点については、原則、贈与された財産は相続開始時の時価評価が基準となります。

したがって、あなたのお兄さんが受取ったマンションの価値が、相続当時1,500万円に跳ね上がっていたとすると、500万円ではなく1,500万円の贈与があったとして相続財産に含めることになります。

次に、長女の留学資金についてですが、この資金についても他の兄弟が留学をしていない以上、金額的からみても、生計の資本となった特別な高等教育資金としての性質をもっていると考えられるため、この場合、特別受益に当たると考えられます。

ちなみに、金銭については、相続開始時の貨幣価値に換算した価額で評価(物価指数の変動率を掛けて換算)し、相続人間の公平を図るべきであるとの最高裁判例があります。

よって、あなたのお姉さんが、20年前当時受けた留学資金250万円を特別受益の評価額としてみなすのではなく、相続開始時の額に換算する必要が出てきます。(一概には言えませんが、現在の金額に換算すると、400~500万円程度といったところかもしれません。)