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通常、亡くなった人(被相続人)の財産は、民法で定められた範囲の相続人が引き継ぐことになりますが、必ずしも法定相続人がいるとは限りません。

生涯独身であったり、配偶者や親兄弟が先に亡くなっていた・・・あるいは、相続人全員が相続放棄をしたなどの理由によっては、相続すべき者が誰も存在しないということも考えられます。

そこで気になるのが、被相続人の遺産の行方です。

法定相続人が1人も存在せず、遺言もない!といった場合、結論から言うと、遺産は最終的には国庫に帰属することになりますが、ケースによっては国がもらい受けるよりも、遺産を取得させた方がよいのではないかとする状況も少なからず見受けられます。
民法が定める法定相続人と優先順位
1位 直系卑属(子、孫、胎児、養子、非嫡出子など) 配偶者は常に相続人となる
2位 直系尊属(父母、祖父母など)
3位 兄弟姉妹(兄弟姉妹、甥・姪)
そこで、民法の一部改正(昭和37年)により、新たに創設された制度が特別縁故者に対する財産分与です。



特別縁故者とは?

先に説明したとおり、現行法では、原則、一定範囲の血族と配偶者にのみ相続権を認めています。

したがって、自分よりも優先順位の高い相続人が存在しなければ、順に相続権が回ってくる法定相続人とは違い、特別縁故者は、ある一定の条件のもとで財産分与を請求することができる立場にある者でしかありません。

では、いったいどんな人が特別縁故者に該当するのでしょう。

特別縁故者とは、亡くなった人との間に特別なつながり(関わり合い)があった者のことで、民法958条の3では、下記に示す要件を満たす者を該当者として挙げています。
チェック被相続人と生計を同じくしていた者

矢印例:内縁の妻、事実上の養親子関係にある者…など


チェック被相続人の療養看護に努めた者

矢印基本的に報酬を受けて療養看護に努めていた看護師や家政婦、付添人などは除くが、対価以上の療養看護を尽くしていた場合には、特別縁故者として認められるケースもある。

チェックその他被相続人と特別の縁故があった者

矢印例:遺言はないが自分が死んだら●●を譲るといった約束をしていた者、被相続人から頻繁に援助を受けていたなど、生前、密接な交流が続いていた者…など
どのような立場の者が特別縁故者として認められるかは、個々のケースによって判断が難しいところですが、もし被相続人が生前に遺言を作成していたならば、財産を譲ったのではないかと考えられる関係(あるいは、遺産を分与することが被相続人の意思に反しないと思われる程度の関係)があったかどうかが問題になってきそうです。

ただ、ここで1点注意したいところは、特別縁故者に対する財産分与は、家庭裁判所の裁量に委ねられているということです。

つまり、家庭裁判所が特別縁故者には当たらないと判断してしまえば、遺産は取得できません(あるいは、遺産の一部のみの取得を認めるなど)。

また、相続人捜索公告の期間満了後、3ヶ月以内に申立手続をしなければ、特別縁故者として財産分与請求をすることはできなくなってしまう点にも注意が必要です。

このような点を踏まえると、たった1枚の紙切れとはいえ、法定相続人以外のしかるべき立場にある者は、被相続人の死後、無用なトラブルを避けるためにも、婚姻届を提出したり、遺言を作成しておくことが大切です。




申立手続について

法定相続人とは違い、特別縁故者が被相続人の財産を取得するには、一定のルールに従って財産分与請求をしなければなりません。

そこで、特別縁故者が財産分与を受けるまでの一連の流れを示しておきましょう。
相続人がいるのかどうかわからない…
利害関係人
相続財産管理人の選任【官報に公告】
公告期間
債権者・受遺者の確認【官報に公告】
公告期間
相続人の捜索【官報に公告】
公告期間
相続人が現れない…
矢印
相続人不存在の確定
3ヵ月以内
特別縁故者による相続財産分与請求
認める
清算後の相続財産の全部
(または一部)を取得
認めない
国庫に
帰属
特別縁故者は、相続人の不存在が確定して、はじめて財産分与請求の申立てをすることができるため、たとえ特別縁故者として認められたとしても、被相続人の財産を取得するまでには非常に時間が掛かります。

また、家裁に提出することになる申立書には、特別縁故である旨の内容を詳細(具体的)に記載する必要があるため、法定相続人以外に財産を譲ろうと思っている人は、自分の死後、確実に遺産が取得できる遺言書を書いておくことをお勧めします。